適応障害
適応障害は、私たちの生活の中で生じる特定のストレスが原因となり、心身のバランスが崩れ日常生活や社会生活に支障をきたしてしまう状態のことを指します。例えば、職場での人間関係や業務内容の変化、転居、あるいは家庭内のトラブルなど、きっかけは人によって様々です。当院にもお仕事や学業に励む中で「最近どうしてもやる気が出ない」「会社に行こうとすると涙が出る」といったお悩みで来院される方が多くいらっしゃいます。
適応障害は決して性格の弱さや甘えではなく、誰もが直面する可能性のある心の不調です。当院では、厚生労働省の精神保健指定医および日本精神神経学会の精神科専門医としての資格を持つ女性医師が、患者さんの置かれた環境を丁寧に伺い、お一人おひとりに最適な治療プランを考えます。JR赤羽駅東口から徒歩2分という立地を活かし、つらい時にすぐ相談できる場所でありたいと考えています。また、必要に応じて診断書の当日発行も行っており、速やかに休養が必要な患者さんのサポート体制を整えています。私たちは、あなたが再び自分らしく笑顔で過ごせるようになるまで、共に歩んでいくパートナーでありたいと願っています。お一人で抱え込まずに、まずは当院へお気軽にご相談ください。
適応障害の症状について
適応障害の症状は、大きく分けて「情緒的な症状」「身体的な症状」「行動面での変化」の3つに分類されます。これらの症状は、ストレスとなる出来事が生じてから通常1ヶ月以内に出現し、ストレスが解消されると次第に改善していくのが大きな特徴です。
情緒的な症状
気持ちの面では、理由もなく涙が出てくる、気分がひどく落ち込む、何に対しても興味がわかないといった抑うつ的な気分が目立つようになります。また、常にイライラして落ち着かない、将来に対して強い不安を感じる、焦燥感(しょうそうかん - 焦る気持ち)に駆られるといったことも少なくありません。会議の前や出勤前に強い緊張感や恐怖心を感じてしまうという方も多くいらっしゃいます。
身体的な症状
心だけでなく、体にも様々な不調が現れます。代表的なものとして、以下のような症状が挙げられます。
- 夜なかなか寝付けない、あるいは夜中に何度も目が覚めてしまう不眠の状態
- 朝から体が重く、鉛のような倦怠感(けんたいかん - だるさ)がある
- 食欲がわかない、あるいは逆にストレスを紛らわせるために食べ過ぎてしまう
- 突然の動悸や息苦しさ、めまい、頭痛、腹痛
行動面での変化
客観的な行動の変化として現れることもあります。以前は問題なくこなせていた業務でミスを繰り返したり、遅刻や欠勤が増えたりします。これらは本人の自制心が足りないわけではなく、脳の疲労が限界に達しているサインであると考えられます。このような変化に気づいたら、早めに専門的なサポートを受けることが大切です。
適応障害の原因について
適応障害の原因は、明確に特定できる「外部からのストレス」です。これがうつ病と異なる点の一つであり、特定の状況から離れると症状が軽減することが一般的です。臨床現場でよく見られる原因には、以下のようなものがあります。
職場における環境の変化
現代社会において最も多い原因は仕事に関連するものです。昇進や異動による責任の増大、慣れない業務への配置転換、あるいは上司や同僚との人間関係のトラブル、いわゆるハラスメント行為などが引き金となります。
ライフイベントの発生
結婚、離婚、出産、子どもの独立といった家庭内の大きな変化や、自分自身や家族の病気、大切な人との別れなども重大なストレス因子(いんし - 原因となる要素)となります。また、引っ越しによって生活圏が変わること自体も、新しい環境に馴染もうとするエネルギーを過度に消費させ、適応を妨げる要因になることがあります。
個人の受け止め方とキャパシティ
ストレスの感じ方は人それぞれです。同じ出来事に遭遇しても、それを大きな苦痛と感じる人もいれば、そうでない人もいます。これは、その時の体調やそれまでの経験、性格傾向(責任感が強い、完璧主義であるなど)が複雑に絡み合っています。当院では、単に原因を取り除くだけでなく、患者さんの個別の特性に配慮しながら、どのようにストレスと向き合っていくかを一緒に考えていきます。
適応障害の病気の種類について
精神医学の診断基準(DSM-5など)では、適応障害はその現れ方によっていくつかのタイプに細分化されています。自分の状態がどのタイプに近いかを知ることは、治療方針を決定する上で役立ちます。
抑うつ気分を伴うもの
主な症状が、気分の落ち込み、涙もろさ、希望の喪失といった「うつ状態」であるタイプです。何をしても楽しくない、元気が全く出ないという状態が続き、一見するとうつ病と区別がつきにくい場合もあります。
不安を伴うもの
神経質になり、過度に心配したり、恐れたり、動揺したりするタイプです。動悸や冷や汗といった身体的な不安症状を伴うことも多く、パニック障害のような症状を呈することもあります。
抑うつと不安が混在するもの
気分の落ち込みと強い不安が同時に現れる、臨床で最もよく見られるパターンです。気分のアップダウンが激しく、自分自身でもどう感情をコントロールしてよいか分からず、困惑してしまう方が多いです。
素行の障害を伴うもの
感情面よりも行動面での逸脱(いつだつ - 外れること)が目立つタイプです。無断欠勤や無謀な運転、攻撃的な言動など、社会的なルールや権利を無視した行動をとってしまうことがあります。このほか、どのカテゴリーにも明確に分類できない混合型も存在します。
適応障害の治療法について
適応障害の治療において最も優先されるべきは、ストレスの原因から物理的・精神的な距離を置く「環境調整」です。それに加えて、症状を和らげる薬物療法や、心の持ち方を整える精神療法を組み合わせていきます。
環境調整による休養
ストレス源となっている環境から離れ、まずは心身を十分に休ませることが治療の土台となります。仕事が原因であれば、短期間の休職や残業の制限、部署の異動などを検討します。当院では、患者さんがスムーズに会社へお休みを申請できるよう、診察したその日に診断書を当日発行することが可能です。診断書という客観的な証明があることで、自分を責めることなく療養に専念できる環境を整えます。
薬物療法
お薬は、あくまで環境調整が進むまでの「心のつえ」として補助的に使用します。不眠が強い場合には睡眠導入剤、不安が強い場合には抗不安薬、抑うつ症状が重い場合には抗うつ薬を少量から処方することがあります。当院では、多剤大量処方を避け、必要最小限の種類と量で効果が得られるよう慎重に検討します。お薬の服用に抵抗がある方も、医師が丁寧にメリットとデメリットを説明しますので、安心してご相談ください。
精神療法(カウンセリング的アプローチ)
症状が落ち着いてきたら、ご自身の思考パターンやストレス対処法を振り返るお手伝いをします。特定の状況下でどのように考え、どのように行動する癖があるのかを把握し、より楽に生きるための工夫を一緒に見つけていきます。これを認知行動療法的な視点を取り入れた対話と呼びます。無理に性格を変えるのではなく、現在の環境にどう折り合いをつけていくかという現実的な解決策を提案します。また、休職されていた方の復職支援についても、会社との連携や復職プランの作成などをサポートいたします。
適応障害についてのよくある質問
Q1.適応障害とうつ病の違いは何ですか?
A1.最大の違いは、ストレス源から離れた時の反応です。適応障害は原因から離れると比較的早く症状が改善することが多いのに対し、うつ病は環境を変えても気分の落ち込みが持続し、回復までに時間を要する傾向があります。ただし、適応障害を放置するとうつ病へ移行することもあるため、早期の対応が重要です。
Q2.どのくらいの期間で治りますか?
A2.一般的にはストレスの原因が取り除かれてから6ヶ月以内に症状が寛解(かんかい - 症状が落ち着くこと)するとされています。しかし、環境調整が困難な場合や、ストレスが長期にわたる場合は、回復にも時間を要することがあります。焦らずに治療に取り組むことが重要です。
Q3.診断書を書いてもらうには、何度も通院が必要ですか?
A3.当院では、初診の方であっても医師が休養の必要性を認めた場合には、診断書の当日発行を行っています。心身がつらくて限界だと感じている方、何日も会社に行けていない方も多いと思います。まずはご相談ください。
Q4.家族や周囲の人はどのように接すればよいですか?
A4.まずは「甘えではない」ということを理解し、本人が安心して休める環境を作ってあげてください。「頑張れ」と励ますのではなく、「今までよく頑張ったね」と労いの言葉をかけ、ゆっくり見守ることが回復への近道です。「いつになったら治るのか」という焦りもあるでしょうが、本人はそれ以上に焦っていることも多く、周囲の方が不安をある程度抱えることも重要です。当院では初診時のご家族の同席、以後のご家族からの相談(要予約)も受け付けております。
院長より
赤羽こころのクリニックのホームページをご覧いただきありがとうございます。院長の峰村明里です。現代では多くの方が複雑になった社会の中で忙しく過ごされています。その中で、ふとしたきっかけで適応障害を患い、悲観してしまう患者さんを数多くみてきました。どうしようもなく心がつらいと感じている時、あるいは体が思うように動かない時、それはあなたの心が「これ以上は無理だ」と出しているSOSのサインです。
「人と比べて自分は頑張っていない」「これくらい耐えられないとこれからやっていけない」「私よりもっとつらい人がいる」と耐えていませんか。自分の苦しさと他者の苦しさ、辛さを比べることはできません。自分を過小評価してしまう、悲観的になってしまうことも手呼応障害の症状のひとつです。今そのような状態であることと、これからもずっとそうであることは本来関係ありません。
適応障害は治る病気です。当院では単にお薬を処方するだけでなく、あなたが直面している環境の問題を整理し、どうすれば健やかな生活を取り戻せるかを一緒に考える、あなたの味方でありたいと思っています。決して一人で悩まず、どうぞ安心してお越しください。
